1ポイントの価値を定義
特典価値を比較するにあたり、まずそれぞれのポイントプログラムでの1ポイントの価値を定義しておいた方が分かりやすいです。実は同じ1ポイントでも価値が全然違うんです。
それぞれのポイントをホテルの無料宿泊に利用した場合と、マイルに交換した場合の1ポイントあたりの価値を考えます。
ホテル無料宿泊の場合
国内のそれぞれのホテルにポイントで無料宿泊する場合で比較してみます。税金サービス料は抜きで計算しています。
SPGの場合
例 : 「シェラトン グランデ 東京ベイホテル」に宿泊の場合、
20,000円の部屋に20,000スターポイントで無料宿泊可能。
20,000円÷20,000ポイント=1円
他のホテルで計算しても、平均 1ポイント=1〜1.5円で中には2.5円まで価値が上がる宿泊先もありました。
ヒルトンの場合
例 : 「ヒルトン東京」に宿泊の場合、
30,000円の部屋に60,000オナーズポイントで無料宿泊可能。
30,000円÷60,000ポイント=0.5円
他のホテルで計算しても、平均 1ポイント=約0.5円でした。
マイルに交換の場合
一般的にマイルの価値は1マイル=2円とされています。交換レートは交換先の航空会社によって異なりますが、平均的な交換レートで計算します。詳しくはあとの記事で解説します。
スターポイントの場合
1スターポイントを最大1.25マイルに交換可能。
1.25マイル×2円÷1スターポイント=2.5円
オナーズポイントの場合
10オナーズポイントを1マイルに交換可能。
1マイル×2円÷10オナーズポイント=0.2円
SPGのスターポイントの価値は、平均すると1スターポイント1.9円というところでしょうか。ヒルトンのオナーズポイントの価値は、平均すると1オナーズポイント0.4円というところでしょうか。
ポイントの価値は2倍くらいの差かと思ってましたが、計算してみると5倍差がありますね。無料宿泊の場合は、ホテルや時期によって1ポイントの価値はもう少し変わると思いますが。
ちょっと計算しにくいので、今回の記事では次のレートで比較したいと思います。
SPG : 1スターポイント=2円
ヒルトン : 1オナーズポイント=0.5円
ではそれぞれのカードを比較していきましょう。
※ 2018年8月のSPGとマリオットとの統合後、SPGのスターポイントはマリオットのポイントに集約されました。1スターポイント = 3ポイントに自動変換されましたが、実質の価値はほとんど変わらないため、この記事でのSPGとヒルトンのポイント価値の比較にはそれほど大きな影響はありません。
年会費を比較
SPGアメックスとヒルトンVISAゴールドでは年会費が大きく異なります。
年会費はヒルトンVISAゴールドの圧勝ですね。しかも、WEB明細書申込と、マイ・ペイすリボ設定で7,470円(税込)まで安くなります。
毎月のリボ払い金額をカード利用限度額まで上げておくと、一回払いと同じように利息を発生せさせることなく利用できますので非常にお得です。
でも年会費だけではそのカードが本当にお得かどうか分かりませんね。それぞれのカードの特典価値を比較検討する必要があります。
カード入会特典を比較
SPGゴールド会員の場合
合計12,000スターポイント
- SPGアメックスを発行後、3ヶ月以内に10万円以上利用で10,000スターポイント
- 紹介プログラム利用で2,000スターポイント
ヒルトンVISAゴールドの場合
合計10,000オナーズポイント
- 期間内に10万円以上利用で8,000オナーズポイント
- 期間内に家族カードに入会で2,000オナーズポイント
一見どちらも入会特典に差がないように見えますが、1ポイントの価値で計算する必要があります。
SPGの場合、12,000スターポイント×2円=24,000円の価値
ヒルトンの場合、10,000オナーズポイント×0.5円=5000円の価値
全く違いますね。入会特典ではSPGアメックスの圧勝です。
ただSPGアメックスは年会費が高いので、入会特典の価値が高いのも当たり前かもしれません。年会費との比較で考えると、両カードとも入会特典の価値は年会費の70%くらいの価値ですので、そういう意味では両カードどちらがお得とは言えないかもしれませんね。よって引き分けとしたいと思います。
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自動付帯のホテルのゴールド会員特典を比較
SPGアメックスとヒルトンVISAゴールドともに、発行するだけでそれぞれのホテルのゴールド会員になれます。
これが両カードの最大の特典と言っても良いでしょう。ではそれぞれのゴールド会員の主な特典を比較してみましょう。
SPGゴールド会員の場合
SPGゴールド会員の特典価値を語る上でかかせないのが、SPGゴールド会員はステータスマッチで簡単にマリオットゴールド会員になれるということです。ですから、マリオットゴールド会員の特典についても検証します。
SPGゴールド会員特典
- 部屋のアップグレード
- 最大16時までのレイトチェックアウト
- ウェルカムギフト(250ボーナスポイント、客室でのインターネット、ドリンクのいずれか)
- 連続5泊以上のポイント宿泊で5泊目が無料
マリオットゴールド会員特典
- 無料の朝食(2名分)
- ラウンジの利用(2名分)
- 部屋のアップグレード
- 最大16時までのレイトチェックアウト
- 高速インターネット
- ボーナスポイント25%
この中で圧倒的にお得なのが、マリオットゴールド会員特典の無料の朝食とラウンジの利用です。このためにSPGアメックスの高い年会費を払ってきたという方も多いのではないでしょうか。
でも、SPGとマリオットの統合により2018年8月からの新プログラムでは、次の点が変更になります。
- 無料の朝食(2名分) → 無し (プラチナ会員以上が利用可能)
- ラウンジの利用(2名分) → 無し (プラチナ会員以上が利用可能)
- 最大16時までのレイトチェックアウト → 最大14時まで
この部分の改悪があるので、SPGアメックスを継続するか、新規発行するか悩んでおられる方も多いのではないでしょうか。
ヒルトンゴールド会員の場合
では続いてヒルトンゴールド会員の特典について見ていきましょう。
ヒルトンゴールド会員特典
- 無料の朝食(2名分)
- 部屋のアップグレード
- レイトチェックアウト
- 連続5泊以上のポイント宿泊で5泊目が無料
- ボーナスポイント
ヒルトンゴールド会員特典のなかで注目は、やはり無料の朝食(2名分)ですね。これは大きいです。
ホテルの朝食を有料で付けようとすると2,000円や3,000円はしますので、年会費たった7,470円で毎回の宿泊ごとに無料の朝食が2名分付くのは超絶お得ですね。
SPGゴールド会員とヒルトンゴールド会員を比較すると、現時点ではSPGゴールドの勝利ではないでしょうか。マリオットゴールド特典の無料の朝食とラウンジ利用が大きいです。
でもSPGとマリオットの統合後はその特典が無くなりますので、2018年8月以降は無料の朝食特典があるヒルトンゴールド会員の圧勝ですね。
それぞれのホテルグループの上級会員の部屋のアップグレード特典を比較した記事も参考にどうぞ。部屋のアップグレードでも上級会員の価値は大きく変わってきます。
毎年のカード更新時の特典を比較
SPGアメックスの場合
SPGアメックスを語る上で忘れてはならないのが、カードの更新時にもらえる1泊無料宿泊特典です。
この無料宿泊特典はSPG系のカテゴリー 1~6のホテルで利用できます。無料宿泊特典を最大限お得に利用するにはカテゴリー6のホテルに宿泊すれば良いのですが、日本にはカテゴリー6のホテルは4件あります。
その中でも例えば、みなさん大好きな東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテル「シェラトン グランデ 東京ベイホテル」に無料宿泊するとどれほどの価値があるのでしょうか?
宿泊する時期によりますが、約20,000円~約60,000円の価値があります。という事は、SPGアメックスはカード更新時の無料宿泊特典で、年会費のほとんどをカバーできるということですね。
※ 2018年8月のマリオットとの統合後、カード更新時の特典はカテゴリーベースからポイントベースの無料宿泊券に変更になりました。新しい特典では50000ポイントまでのホテルに無料宿泊できますが、今回紹介したシェラトン グランデ 東京ベイホテルも50000ポイントで宿泊できますので、無料宿泊特典の価値はそれほど大きな変化はありません。
ヒルトンVISAゴールドの場合
対して、ヒルトンVISAゴールドはどうでしょうか?ヒルトンVISAゴールドには毎年のカード更新時の特典はありません。まあ、年会費7,470円と激安ですので仕方ありませんね。
ということで、毎年のカード更新時の特典では、SPGアメックスの圧勝ですね。
ポイント還元率を比較
カードのショッピング利用やホテル代利用で獲得できるポイントを比較したいと思います。キャンペーンなどで期間限定でもらえるポイントは除外しています。ドルは分かりやすく1ドル100円で計算します。
SPGアメックスの場合
- カード利用 100円につき1スターポイント (還元率1%)
- SPG系列ホテル宿泊 1ドルにつき3スターポイント (ゴールド会員特典)
- SPG系列ホテル宿泊 1滞在につき250スターポイント (ゴールド会員特典)
ホテル宿泊代の場合
例えばSPG系列ホテルの宿泊代20,000円をカード支払いの場合
①200ポイント
②600ポイント
③250ポイント
合計1,050ポイント獲得 (還元率5%)
1スターポイント=2円を当てはめると、
1,050ポイント×2円=2,100円 (実質還元率10%)
ショッピングの場合
例えばショッピングに10,000円利用の場合、
還元率1%で100スターポイント獲得
1スターポイント=2円を当てはめると、
100ポイント×2円=200円 (実質還元率2%)
ヒルトンVISAゴールドの場合
- カード利用 1,000円につき10オナーズポイント (還元率1%)
- ヒルトン系列対象ホテル宿泊費支払いで 2,000オナーズポイント
- ヒルトン系列対象ホテル宿泊 1ドルにつき12.5オナーズポイント (ゴールド会員特典)
ホテル宿泊代の場合
例えばヒルトン系列ホテルの宿泊代20,000円をカード支払いの場合
①200ポイント
②2,000ポイント
③2,500ポイント
合計4,700ポイント獲得 (還元率23%)
1オナーズポイント=0.5円を当てはめると、
4,700ポイント×0.5円=2,350円獲得 (実質還元率11%)
ショッピングの場合
例えばショッピングに10,000円利用の場合、
還元率1%で100オナーズポイント
1オナーズポイント=0.5円を当てはめると、
100ポイント×0.5円=50円 (実質還元率0.5%)
宿泊代にカードを用いる場合は、ヒルトンの方がポイント還元率が23%と非常に高いので、ポイントを貯めやすいと言えます。でも、実質還元率、つまり獲得できるポイントの価値には両カードに大差が無いことが分かります。
ショッピングでカードを利用する場合、両カードとも還元率1%で一見同じですが、ポイントの価値が違います。
SPGアメックスの実質還元率は2%に対し、ヒルトンVISAゴールドは実質還元率たった0.5%しかありません。一般的なカードと比べても見劣りしますので、ヒルトンVISAゴールドはメインカードにはおすすめできません。
SPGアメックスは一般的なカードと比べても実質のポイント還元率が高いですし、メインカードとして十分おすすめできます。
クレジットカードとしてのポイント還元率はSPGアメックスの勝利ですかね。
ポイントを使った無料宿泊を比較
SPGスターポイントの場合
国内のSPG系列ホテルはカテゴリー4〜7ですので、無料宿泊に必要なポイントは10,000〜35,000ポイントになります。
ヒルトンオナーズポイントの場合
国内のヒルトン系列ホテルはカテゴリー3〜10ですので、無料宿泊に必要なポイントは20,000〜95,000ポイントになります。
SPGとヒルトンを比較すると、SPGの無料宿泊に必要なポイント数はヒルトンの半分以下だということがわかります。
両カードともショッピングのポイント還元率が1%でポイントの貯まりやすさは同じですので、SPGの方がお得に無料宿泊できます。
ただ宿泊に特化して考えるとヒルトンが有利かもしれません。なぜなら有償宿泊時のカード利用でのポイント還元率がSPGの5%に比べ、ヒルトンは23%と約4倍ポイントが多く貯まるからです。
ですので、ヒルトンに宿泊し貯まったポイントで無料宿泊するというポイントの使い方に特化すれば、ヒルトンVISAゴールドの方がお得に無料宿泊できると言えます。
全体的にはポイントを使った無料宿泊はどちらがお得と言い難いので、引き分けですかね。
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航空会社のマイルへの交換レートを比較
主な航空会社のマイルへの交換レートを比較したいと思います。
SPGスターポイントの場合
スターポイントの場合は、ほとんどのマイルに1:1で交換できますので非常に優秀です。しかも良いレートでこれだけたくさんの航空会社のマイルに交換できるんですから、使い勝手が良すぎます。
さらに、20,000スターポイントをまとめて交換するとボーナスが5,000マイル付きますので、実質1:1.25でマイルに交換できることになります。
クレジットカードとしてのマイル還元率も最大1.25%になり、マイルを貯めるカードとしても非常に優秀です。
ヒルトンオナーズポイントの場合
オナーズポイントの場合は、多くの航空会社で10ポイントでたった1マイルにしか交換できませんので、交換はやめておきましょう。
クレジットカードとしてのマイル還元率もたった0.1%ですので、マイルを貯めるカードとしては全く使い物になりません。
よって航空会社のマイルへの交換はSPGの圧勝ということになります。
実は、SPGアメックスで貯めたポイントを使ってシンガポール航空のマイルに交換し、憧れのスイートクラスに乗ろうと企んでいます。ポイントをこんな風に使えたら最高ですよね!
www.miledemile.com
ホテルの数を比較
国内ではSPGの圧勝です。海外では現在はヒルトンの圧勝ですが、2018年8月のマリオットとの統合後はSPGの方が上回ります。
SPGアメックスとヒルトンVISAゴールドはどっちがお得?
両カードの特典を徹底比較してきましたが、結果をまとめたいと思います。
なんか意外な結果になりました。SPGアメックスの最大の魅力であったマリオットゴールド会員の無料朝食とラウンジ利用が無くなれば、SPGを解約してヒルトンVISAゴールドに乗り換えようと思っていました。
でも無料朝食とラウンジ利用が無くてもSPGアメックスはまだまだ魅力的なカードだということが判明してしまいました。
もちろん、宿泊時のゴールド会員特典に絞って考えると、年会費が安く無料の朝食が付くヒルトンVISAゴールドも充分魅力的でお得なカードだと言えますね。
あなたはどっち派?
カード特典のお得を比較しましたが、あとはその人の状況や何を重視するかで決まるのではないでしょうか。
どんな人がどちらのカードに向いているか、SPGマリオット統合後の2018年8月以降を想定してまとめてみました。
SPGアメックスに向いている人
- 年会費が高くてもそれ以上の特典があれば問題ない
- メインカードが欲しい
- 各航空会社のマイルを効率良く貯めたい
- 年に一回は高級ホテルに宿泊したい (無料宿泊特典で年会費ペイ)
- とにかくSPG・マリオット・リッツが好き
ヒルトンオナーズVISAゴールドに向いている人
- とにかく出費は抑えたい
- メインカードが他にある
- 宿泊に特化して利用したい
- ホテルの朝食を無料で食べたい
- とにかくヒルトンが好き
ヒルトンオナーズVISAゴールドは
こちらのリンクから入会利用で10,000オナーズポイント(約5,000円分の価値)を獲得できます。
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まとめ
いかがだったでしょうか。結局はSPGアメックスもヒルトンオナーズVISAカードも魅力的なカードだということが良く分かりました。
意外だったのは、マリオットゴールド特典の無料朝食とラウンジ利用が無くなってもSPGアメックスは依然として魅力的なカードだということです。
ちなみにわたしは両方のカードに魅力を感じてしまったので、両方とも持つことになりそうです(笑)